高校教育

芸術科 書道 コース

書道コースの学び
おどる浜松出世パーク

■ おどる浜松出世パーク アートパフォーマンス

2023年8月に地域創造コース、美術コース、音楽コースと連携して、「おどる浜松出世パーク」でのアートパフォーマンスを実施。浜松城をバックに堂々と作品を書き上げました。

多くの人に、
「書道」を身近に感じてもらうことが
できました。
村松 遥
(袋井市立周南中出身)
――「おどる浜松出世パーク アートパフォーマンス」で
どんなことに取り組みましたか?
徳川家康の遺訓である「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」を4人のメンバーで書きました。それと同時に1人が板に「徳川家康」と書き、別の板に2人が徳川軍の旗印にある「厭離穢土欣求浄土」を書きました。
――準備段階では特にどんなことを行いましたか?
3枚の板を使って5人でタイミング良く書けるように、たくさん練習しました。ひとつの文章を分担して書いたので、字の雰囲気を統一させるために半紙でも練習しました。
――パフォーマンスを通して感じた面白さ、やりがいを教えてください。
浜松城の天守にいるお客さんが、私たちのパフォーマンスに興味を持ってくれているように見えました。たくさんの人に「書道」というものを身近に感じてもらうことができたと思います。また今回のパフォーマンスを通して、浜松にゆかりのある徳川家康のことをより深く知ることができました。地域に寄り添ったイベントのあり方を少しずつ考えられるようになりました。
――普段、書道コースでどんな学びに力を入れていますか?
私は1年生の時から行書を専門的に臨書してきました。行書で大切なのは、筆の浮き沈みや潤渇によってひとつのストーリーを作ることです。「どのように作品として成り立たせるか」を考えながら書くようにしています。自分なりにその作品の筆使いを読み解き、自分の持っている技術でどう表現するかを考えることが、面白い点だと思います。
――改めて、書道コースにはどのような魅力があると思いますか?
実技の授業では、漢字の書、仮名の書以外にも、概論や書道史などの座学もあります。座学では書の理論を根本的な部分から学び、実技に活かしています。篆刻・刻字の授業では定期的に鑑賞を行い、他の生徒の作品から自分に足りないものを見つけ、自分のものにするための取り組みをしています。
――今までの学びの成果を活かして実現したい目標を教えてください。
私たちが普段学んでいる「書道」というものを、もっとたくさんの人になじみのあるものにしたいです。「書道」という、今の社会ではあまり使われることがなくなったものを専門的に学ぶことが、伝統芸術を継承することにつながると思います。

2023年度 受賞作品

(228×53cm)
令和5年度静岡県高等学校
総合文化祭書道部門
第69回静岡県高等学校書道展
静岡県教育委員会教育長賞
川坂蓮菜

(228×53cm)
令和5年度静岡県高等学校
総合文化祭書道部門
第69回静岡県高等学校書道展
静岡県高等学校文化連盟会長賞
鈴木虹心

受賞という結果につながり、
うれしく思います。

中国の経典「賢愚経」の魅力が一目で感じられる作品になるよう、丁寧に書き上げました。練習で意識したのは、大ぶりな字形や重量感あふれる筆致を表現することです。作品全体の一体感を高めるために文字の密度を意識して書き、一画一画、筆の弾力を使いながら、重量感と切れ味を力いっぱい表現しました。学校だけでなく家での自主練など多くの時間をかけて練習を重ねたことが思い出に残っています。
限られた時間の中で少しでも自分の納得のいく作品を書き上げるのは難しかったですが、その努力を受賞という結果につなげることができ、うれしさで胸がいっぱいになりました。

鈴木 虹心
(掛川市立北中出身)

(13.7×27.5cm)
令和5年度静岡県高等学校
総合文化祭書道部門
第69回静岡県高等学校書道展
奨励賞
大場 みわ

(136×34cm)
大東文化大学主催
第64回全国書道展
大東文化大学学長賞
昇 美優亜

徐三庚の細かな筆の動きを表現しました。

この作品で表現したかったのは、中国清朝末期の篆刻家、徐三庚の細かな筆の動きです。同じ横画でも、起筆(始筆)や送筆のスピード、リズム感が少しずつ違います。その部分を丁寧に表現することを意識しました。また、伸び伸びとした線質を表現する中で私が特に力を入れたのが収筆(終筆)です。ふくらみのある収筆がこの作品の特長の一つなので、その感覚をつかめるまで何度も練習しました。
今回、全国書道展で大東文化大学学長賞という素晴らしい賞をいただけてとても光栄に思っています。この作品を書くのをやめたいと思った時期もありましたが、諦めずに書き続けて良かったと心から思いました。

昇 美優亜
(浜松市立北浜中出身)

これまでの実績紹介

【近年の主な受賞歴・課外活動】
◆第47回全国高等学校総合文化祭鹿児島大会 書道部門
特別賞
◆第46回全国高等学校総合文化祭東京大会 書道部門
読売新聞社賞・奨励賞、特別賞
◆第45回全国高等学校総合文化祭和歌山大会 書道部門
奨励賞
◆令和5年度静岡県高等学校総合文化祭書道部門
静岡県教育委員会教育長賞(最高賞)・静岡県高等学校文化連盟会長賞
◆令和4年度静岡県高等学校総合文化祭書道部門
静岡県教育委員会教育長賞(最高賞)・静岡県高等学校文化連盟会長賞
◆令和3年度静岡県高等学校総合文化祭書道部門
静岡県教育委員会教育長賞(最高賞)・静岡県高等学校文化連盟会長賞
◆国際高校生選抜書展~書の甲子園~ 団体 全国準優勝2回、
中部北陸地区優勝8回・準優勝2回/個人 準大賞・優秀賞・秀作賞
◆センバツ(春の甲子園)出場校プラカード揮毫7回
(※そのうち1回は新型コロナウィルス感染症蔓延により大会中止)、出場校応援動画作成
◆高円宮杯日本武道館書写書道大展覧会 高円宮賞(最高賞)2回・日本武道館理事長賞・
全国都道府県教育長協議会賞・全日本書写書道教育研究会賞・フジテレビ賞
◆全国書道展(大東文化大学) 文部科学大臣賞(最高賞)3回・大東文化大学学長賞・
書道研究所所長賞
◆中日書き初めコンクール 文部科学大臣賞(最高賞)2回・中日大賞・静岡県知事賞・
中日準大賞・浜松市長賞・中日賞他
◆高校生国際美術展 高校生国際美術展会長賞・東京都知事賞・秀作賞・奨励賞
◆全国高校書道展 学長賞(最高賞)理事長賞・副学長賞
◆全国書道展(岐阜女子大学) 大賞(最高賞)・準大賞・
静岡県教育委員会教育長賞・大学賞
◆学芸書道全国展 文部科学大臣賞(最高賞) 東京学芸大学学長賞・会長賞・全日本書写書道教育研究会賞
◆全国学芸サイエンスコンクール 学校特別奨励賞(アート分野 書道部門)
旺文社赤尾好夫記念賞(金賞)・(入選)
◆高文連書道専門部西部支部書作展 高文連会長賞・特別奨励賞
◆高校生刻字展 第15回記念賞・準大賞
◆第42回静岡県書道連盟公募展【高校部門】
静岡県知事賞(最高賞)・SBS 静岡新聞社賞
◆静岡県書道連盟書きぞめ展西部地区
県知事賞(学年最高賞)・特別奨励賞・県議会議長賞
◆東海学生書道コンクール
県知事賞(最高賞)・県教育長賞・大賞・準大賞

■在校生の声 vol.1

授業や部活の時間など、
「書道三昧」の毎日を過ごしています!
在校生近影1
佐藤 綾祐
(浜松市立丸塚中出身)
――浜松学芸高校の書道コースに入学した理由を教えてください。
学芸のオープンスクールに行った時に、在校生のやさしさに驚いたことがきっかけです。「この高校に入学したいな」と思いました。
――書道コースの学びについて、どのような特徴があると感じていますか?
書道コースでは、授業の時間に専門的に書道を学ぶだけでなく、部活動の時間も書道三昧です。篆書・隷書・楷書・行書・草書の5つの書体を学ぶほか、石や木などの印材に文字を刻す「篆刻」や、木に文字を彫りつける「刻字」なども学びます。
――先生方の指導について、特に印象に残っていることを教えてください。
私が苦手としていた字がうまく書けるよう、丁寧に指導してくださったことが印象に残っています。指導を受けて練習を続けた結果、苦手だった字が自分の得意な字に変わりました。
――イベント面での書道コースの魅力を教えてください。
イベント面で印象に残っているのは、「書道パフォーマンス」を行ったことです。見る人にとっての書道パフォーマンスの魅力は、完成した作品を鑑賞するだけでなく作品を創り上げていく過程が見られることだと思います。
――浜松学芸高校の学びにはどんな「楽しさ」があると思いますか?
書道の授業だけでなく、他の教科の時間も充実しています。私が特に楽しさを感じるのは体育の授業です。普段、座って書道をする時間が多いので、体を自由に動かせる楽しさや感動があります。
――自分自身でどんな成長を実感していますか?
自分ではあまり自覚していないのですが、まわりからは「中学生の時よりもだいぶ上手になったね」と言われます。字の形が整ってきたのは、字を見る目が変わったからだと思います。

■先輩の声 vol.1

香寳さん 書道家
  • ■2014年度卒業
  • 京都橘大学日本語日本文学科
    書道コース卒業
  • (仕事の経歴)
    ・濵本祐介×香寳 盆栽×書道 合同展
    ・NEWoMan新宿アートパフォーマンス出演
    ・ONIMARU-NFT アートトイコラボ制作
    ・新宿都庁前キッズプロジェクト出演
    ・書道界で活躍する女流書家4人による『0展』を東京・名古屋で3度開催

自分にはない感性を持った友人に出会い、
楽しく書道を学ぶことができました。

――学業面で、高校時代に特に力を入れたのはどのようなことですか?
公募展などで賞を受賞することや作品展など常に目標を持ち、毎日数時間筆を執り書道と向き合ったことです。
――高校生活全体を振り返って、思い出に残っていることを教えてください。
私たちのクラスは切磋琢磨し合える関係でありながら、和気藹々としたみんなの個性が溢れていてとても楽しかった思い出があります。そして現在でも親交があり、お互いの展示会に行ったり仕事の近況を話し合ったり、とても良い関係性を築くことができています。
――卒業生の方の目から見た浜松学芸高校の魅力をご紹介ください。
芸術に力を入れている浜松学芸高校だからこそ、とても良い環境で書道を学ぶことができたと思います。そして書道コースの先生方が常に真摯に向き合ってくださるので、より楽しく書道を学ぶことができました。 また美術コース、音楽コースなど色々なコースがあり、自分にはない感性を持った友人に出会えました。そうした経験ができることも浜松学芸高校の魅力だと思います。
――現在のお仕事の内容を教えてください。
また、どのようなやりがい、手応えを感じていますか?
書道家として、作品展の開催や、飲食店・美容サロンなどへ作品の提供、看板・ロゴ制作などのクライアントワーク、パフォーマンスなどを行っています。 やりがいを感じるのは、香寳の作品がお客さんの手元に渡り、感動してもらえた瞬間です。香寳の作品を通して人に何かを感じてもらえた時が一番嬉しいです。また、書道を通して人に勇気や感動を与えられるということはとても素敵なことだと実感しています。
――高校時代に学んだことが、現在の仕事にどのような形で役立っていますか?
書道の技術と共に古典や時代背景を勉強できたことは現在の作品制作の軸となる大事な部分であり、書道家活動をするうえでの自信にも繋がっていると思います。

■先輩の声 vol.2

須藤 久留美さん 岐阜県立高校書道科教諭
  • ■2017年度卒業
  • 東京学芸大学教育学部中等教育教員養成課程
    書道専攻卒業

作品展をみんなで作り上げたことが、
高校生活の一番の思い出です。

――学業面で、高校時代に特に力を入れたのはどのようなことですか?
常に、書のエキスパートである先生方から、できるだけ多くのことを吸収しようという思いで学んでいました。また、書道の指導者になることをめざしていたので、書に関する知識や技術を広く、深く身につけることを意識して、書道に取り組みました。
――高校生活全体を振り返って思い出に残っていることを教えてください。
高校での学びの集大成として行った作品展が印象に残っています。 作品制作を通して、自分の書や自分の表現と真摯に向き合うことができました。そして、仲間と共に協力し励まし合いながら取り組むことで、「作品展をみんなで作り上げたんだ」という達成感を得られたことが、高校生活で一番の思い出です。
――卒業生の方の目から見た浜松学芸高校の魅力をご紹介ください。
浜松学芸高校の書道コースの魅力は、書道のエキスパートであり頼りになる先生方がいらっしゃることと、書道に打ち込める環境があることだと思います。
――現在のお仕事の内容を教えてください。
また、どのようなやりがい、手応えを感じていますか?
書道教諭として、岐阜県の公立高校に勤務しています。生徒が書を通して自己表現する場面に直接関われることにやりがいを感じています。また、生徒自身が成長を実感している姿や書を楽しんでいる姿を目にした時も、やりがいを感じます。
――高校時代に学んだことが、現在の仕事にどのような形で役立っていますか?
高校時代に出会った先生方は私の目標であり、先生方から指導していただいたことは、今の私が授業や部活動の指導をする上での根幹をなすものになっています。 高校時代、「よりよい作品」をめざして練習に励んできた経験が、今は「よりよい授業」「よりよい指導」をめざして日々学び、そして実践することにつながっていると感じています。